2001年12月18日。私はニューヨークへ飛び立った。
9月11日、世界が揺さぶられたあの日から、すでに3ヶ月。
その間、戦争ムードが高まり、空爆が始まり、
目に見えない不気味な菌が不安をかりたて、
また、戦争の絶えなかったあの国では、ひとつの政権が鎮圧されていた。
刻々と伝えられるニュース。
テレビでは「がんばれ!ニューヨーク」特集。
あの日は突然やってきて、世界中に衝撃と波紋を投げかけた。
人々の助け合いと愛国心、それがヒートアップしていく姿が時間とともに世界に配信された。
そして私の中にも、なにかが喉に詰まったままのような、息苦しい後味の悪さを残していた。
そんなたくさんのニュースを聞きながら、それでも日常の生活を普通に送っている。
だけど、心のどこかがあそこにつながっていて、ニューヨークと聞くたびに
私の一部が瞬時にあの日に引き戻される。
ああ、すっきりしない!
自分の目で見なければ、なんかすっきりしない!!
私はニューヨークが大好きだ。
行くといつも、強力なエールをくれていたあの街が、
今、大変なことになっている。
私が行ってどうにかなるものでもないけれど、
とにかくニューヨークの街に触れたかった。
苦しみながらも少しずつ変化しようとしているニューヨークなのに、
今のままでは、私はニューヨークから置いてきぼりを食ってしまう。
私は2001年9月11日から進めなくなってしまう・・・。
だから行く!
それがこの旅の単純な動機だった。